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取引戦略例

取引戦略例
出典:Laxus公式サイト

【2021年版】マーケティング戦略とは?立案の手順・わかりやすい事例解説

マーケティング戦略とは、一言で言えば 「誰に、何を、どれくらいの対価のもとで、どのように提供していくか」を決めること です。
以下では、それぞれの手順について簡単に示します。
マーケティング戦略とは、 STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)により、顧客が誰か、自社や自社製品を顧客にどのようにみてもらいたいかを明確に定める とともに、 マーケティングミックス(4P)により、顧客に対し、どのような価値(製品)をどれくらいの対価(価格)でどのように(流通チャネル)提供していくか、自社や自社製品と、どのように関係を構築(プロモーション)していくかの計画を立てること です。

知っておくべきフレームワーク

STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)

STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)

STPでは、 「顧客が誰か」と「自社や自社製品をどのようにみてもらいたいか」を定めます。 どのようなターゲットセグメントを想定するかにより、ポジショニングは異なる上、ターゲット顧客の特性や目指すポジショニングにより、後述する4Pの最適な組み合わせは変わるため、マーケティング戦略の立案にあたっては、STPすなわち、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを優先して定める必要があるといえるでしょう。
性別や年代、居住地などの属性や行動特性などの面で、どのようなタイプの人を顧客としたいのかが不明瞭なままでは、どのような取り組みも焦点の合わないぼやけたものになってしまうでしょうし、自社や自社製品が他とは異なる際立った存在として認知させることができなければ、特徴のないものとして競合他社・商品に埋もれてしまい、選ばれなくなってしまうからです。

マーケティングミックス(4P)

マーケティングミックス(4P)

STPを決定した後には、 企業がコントロール可能なマーケティング要素である「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション(Promotion)」の4つのPを適切に組み合わせていきます。 このような4Pの適切な組み合わせの検討をマーケティングミックスといいます。
4Pの各要素は、それぞれに計画される場合も少なくありませんが、マーケティング戦略上、重要なのは、2つの意味での適合性(フィット)です。第一には、標的市場(顧客)のニーズや行動とマーケティングミックスの各要素との適合性です。企業は対象顧客に適合するような製品戦略、価格戦略、広告・販売促進戦略、流通チャネル戦略を計画・実行しなければなりません。第二に、マーケティングミックスの4要素間の適合性です。製品コンセプトやポジショニングと矛盾するような価格設定や広告・販促、チャネル選択を行っていては、大きな成果は期待できないでしょう。

マーケティング戦略の立案の手順とまとめ方

マーケティング戦略のステップのイメージ

1.市場調査(マーケティングリサーチ)

2.市場細分化(セグメンテーション)

3.ターゲティング

4.ポジショニング

5.マーケティングミックス(4P)

6.実行・分析

事例で理解!マーケティング戦略

ライフネット生命

ライフネット生命公式サイト

出典:ライフネット生命公式サイト

【STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)】

ライフネット生命のSTP戦略のイメージ

【マーケティングミックス(4P)】

ライフネット生命の4P戦略のイメージ

一方、流通経路であるチャネル(Place)については、Webを原則としつつも、カタチのない商品を誰にも会うことなく契約手続きすることに対する不安を軽減するため、保険ショップなどの代理店でも取り扱うこととしている他、コールセンターへの電話やWeb上のチャットでの相談も受け付けています。
プロモーション(Promotion)については、ポータルサイトや検索サイトなど外部のWebサイトへの広告出稿や各種SNSにおける公式アカウントからの情報発信、Webメディア「ライフネットジャーナル オンライン」の運営などのWeb上でのコミュニケーションにより保険加入の検討段階にある消費者の自社サイトへの誘導をはかる他、より広範な認知の獲得を企図したTVCMなどマス媒体への広告出稿も行っています。また、契約者(顧客)に対しては、契約期間が長期に渡るなか、カタチがない上、契約期間を通じて利用する機会も乏しいという保険商品の特性を鑑み、保険加入についての再認識と、同社社長や社員と直接触れ合うことで手触り感を提供する機会として全国各地で「ふれあいフェア」を開催しています。
このように、ライフネット生命では 同社の経営理念からも明らかなSTPのもと、4Pについても相互に矛盾や齟齬が生じることのないよう、適切に組み合わせて提供しています。 創業当初にターゲットとしていた顧客層は市場規模の点では限りもあったものと思われ、一時は成長も鈍化する傾向もみられたものの、同社の業績動向からは認知の拡大やWebサイトへの導線の再設計など、近年の取組が成果に繋がりつつある様も見て取れます。コロナ禍でWebを通じた非対面での販売に注目が集まる中、他の保険会社が営業(対面販売)停止に追い込まれていたことも奇貨とした業績の拡大も続いていることから、今後の動向にも引き続き注視していく必要があるといえるでしょう。

Laxus

Laxus公式サイト

出典:Laxus公式サイト

【STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)】

LaxusのSTP戦略のイメージ

【マーケティングミックス(4P)】

Laxusの4P戦略のイメージ

ただし、アプリダウンロードや紹介を通じたポイントを付与することで実質無料でのトライアルができるなど、未体験のユーザーにラグジュアリーブランドバッグの使用体験を提供し、顧客層の裾野を拡大していくことは、一方で在庫を逼迫する要因にもなり得ます。ラクサス社では、ラグジュアリーブランドバッグを所有する消費者に対し、同社を通じて有償で貸し出しできる「LaxusX」というサービスも提供しており、所有者に対し、自宅で眠っているだけであったバッグが経済的価値を生む存在に転換されるメリットを提供し、調達費用を節約しつつ在庫の獲得にもつなげています。こうした一般顧客の所有物を貸し出し在庫に転化することには、利用者の使い方(クリーニング可能な範囲を超える破損)や本来の持ち主が必要なとき確実に返却される見込みがあるか、といったリスクもあることから、同社の在庫を含む商品そのものの質に加え、利用顧客のモラルの維持・確保ができるかどうかも「Laxus」自体の成長を左右する要素となるものと思われます。
前述の通り類似のサービスを提供するところも出てきていますが、先発でありマスメディアへの広告出稿等を通じて拡大している認知状況や、類似サービスにはラグジュアリーブランドバッグの取り扱いに特化するなど同社サービスと真っ向からぶつかるものは見受けられないことなどをプラス要因としつつ、今後も堅調に成長していくものと思われます。
なお、Laxusの中核的なターゲットである成年女性は、元々子育て中の世代を中心として男性や他の世代に比べ環境に対する意識が高い世代でもあります。近年では、SDGs※2に対する社会的要請の高まりも相まって環境配慮行動に対する意識はより幅広い層に支持されるようになっていることもあってか、同社は中核的なターゲットの要件に「エシカルな消費※3を志向すること」を加え、ターゲット層へのプロモーションにおいても、同社がSDGsの推進という社会的要請に応えており、同社のサービスを利用することが環境問題に対する貢献につながることを訴求するメッセージに変えています。こうした社会環境の変化に対し、迅速かつ柔軟な対応を図っていくことも、同社サービスの成長を下支えするものといえるでしょう。
※1 サービス内容は執筆時時点の情報です。
※2 SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月の国連サミットで採択された国際社会共通の目標のことである。SDGsが定める経済や社会、環境などの問題に関する「17のゴール・169のターゲット」では、発展途上国か先進国かを問わず積極的な取組が求められている。
※3 エシカル(ethical)とは、本来、「倫理的」「道徳的」という意味を持つ形容詞である。近年では、消費などの社会活動において環境保全や社会問題に対する配慮があることを指すようになっている。

マーケティング戦略、成功のポイント

先に取り上げた2つの事例は、それぞれ顧客層も商品も、全く異なるビジネスを展開しています。しかし、両社はともにマーケット全体から独自の分類軸により属性やニーズについて他とは明確に異なると考えられる消費者を切り出し、自社や自社の商品・サービスの代替品を含む競合する商品や会社とは異なるユニークで魅力的な存在として位置づけ提供することで顧客の支持を獲得しています。また、その商品・サービスや対価としての価格、提供過程、認知の拡大や利用促進に向けたコミュニケーションのあり方についても相互に適切なバランスを崩すことのないように設定されているように見受けられます。
マーケティング戦略の成否はこのように、 ターゲットの設定と自社・自社商品のポジショニング、4Pのバランスにかかっている といえるでしょう。

「絶対に知っておきたい! マーケティング戦略に役立つフレームワーク」ダウンロード

PROFILE

井上 智紀(いのうえともき)

生活研究部 主任研究員
・1995年:財団法人生命保険文化センター 入社
・2003年:筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻修了(経営学)
・2004年:株式会社ニッセイ基礎研究所社会研究部門 入社
・2006年~:同 生活研究部門
・山梨大学生命環境学部(2010年~)非常勤講師
・高千穂大学商学部(2018年度~)非常勤講師

所属学会
・日本マーケティング・サイエンス学会
・日本消費者行動研究学会
・日本ダイレクトマーケティング学会 取引戦略例
・生活経済学会
・日本保険学会
・生命保険経営学会
・ビジネスモデル学会

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