Log時代必携の魔法の小箱、 IS-miniは何を目指しているのか?
▲ISシリーズを開発する富士フイルム株式会社イメージング事業部の内田充洋氏(左)と中野大輔氏を取材。
今、Log撮影をするプロフェッショナルの制作現場でよく見かけるのが富士フイルムのIS-miniだ。IS-miniはひとことでは説明しにくい製品である。ハードウェアでありながら、それと連携するソフトウェアも提供され、カラーグレーディングのワークフロー全体を統括するシステムでもある。Image Processing Systemと名付けられているとおり、色やトーンをマネジメントするソリューションなのである。
製品の外観としては、10cmサイズ大の手のひらに乗る小箱だ。映像入力はHD-SDI、出力はHD-SDIとHDMI、そしてUSB端子が設けられおり、まさにコンバーターといったところ。
▲IS-miniはIS-100のオプションとして2013年6月に発売、ソフトウェア提供でPCと組み合わせて単体使用できるになったのが2014年4月。入出力はHD-SDIで各1系統。HDMIは出力用。対応フォーマットはHD。
まずはコンバーターという側面としては、カメラから入力されたLogの映像信号を、色変換(1D/3D LUT)テーブルに基づいてリアルタイムに変換して、最適な色をモニター上に出力するという役割を持つ。Log撮影ではフラットに撮影しておき、後処理でグレーディングをするというワークフローになるが、撮影現場ではイメージの共有が難しい。これまではLogの眠い映像のまま見るか、せいぜいREC.709のビデオガンマに変換したものを確認するしかなかった。しかし、IS-miniを利用することで、モニターキャリブレーションを行なったモニターで、最終仕上がりに近い映像をプレビューすることが可能になる。
各カメラに対するLUTを適用したり、さらにモニターキャリブレーションを行ない、さらにカラーコレクション機能まで持つのが、同社が提供するソフトウエア、IS-mini MANAGERである。本体とはUSBケーブルでPCと接続する。ここで調整したルックは、DaVinci Resolve用のLUTファイルとして.CUBE形式で書き出すことができる。
このところIS-miniが注目されているのは、マルチカメラ撮影での色合わせだ。最近のライブ撮影ではマルチカメラが当たり前になり、どんどんカメラの台数は増える傾向にあるが、当然、同じカメラを揃えるわけにはいかない。パラ収録して編集する場合でも、カメラの色を合わせ込むのは至難の技だ。カメラの機種が異なっても同じルックにするにはどうしたいいのか? 富士フイルムでは各カメラの特性=IDT(Input Device Transform)を計測して、IS-miniに組み込んでいるので、個体差を最小限に抑えて出力することができる。
富士フイルム南青山テクニカルセンターでは、カメラごとの特性を測るIDT高精度作成システムを開発。持ち込まれたカメラにも対応する。18ストップまで段階を刻んだ穴を撮影してどういうデータが得られるかを計測(左上)。カラーチャートも同様(右上)。データはIS-LUTに組み込んで提供される。
カメラの内部記録に手を入れることはできないが、スイッチャーへ送る映像や、最近増えてきた外部レコーダーでの記録なら、色を合わせ込むことができる。本来はカメラメーカーこそがLogでの現場ビューイングやマルチカメラの色合わせに対するソリューションを提供すべきなのだが、現在、ビデオカメラを作っていない富士フイルムから、なぜこういった製品が出てくるのだろうか?
映像関係者であっても、映画やCMに関わっていないとほとんど馴染みはないが、富士フイルムは映画用フィルムを長らく手掛けてきた。中野氏自身、足柄工場で撮影用のネガフィルムの品質管理など、開発に携わってきたという。ところがまずは写真用のフィルムの需要が一気に減っていった。一方映画用はもともとが業務用途だったこともあり、しばらくは大丈夫、むしろまだまだこれから伸びる(最大手のコダックに対して、シェアを奪いつつあった)と言われていたが、結局は2012年9月に映画フィルム事業から撤退することになる。
イメージングプロセッシングシステムの開発のきっかけは、内田氏が2009年ごろに米国のアカデミーのACES規格に関与を始めたこと。ただ当時は、撮影と上映はフィルムで、その間がデジタルワークフローだった。ただ、そのデジタルでの映像制作に混乱が起きていたので、業界での統一ルールを作って効率化し、クオリティを上げようという目的がアカデミーにはあった。フィルムのノウハウを持つ富士フイルムとしてもデジタルワークフローで技術貢献することで映像業界に貢献し、さらに映画用フィルムの事業を後押しできればという意図もあったという。
ACES規格のノウハウを盛り込み、色に関してはすべてを解決しようというコンセプト提案がIS-100という製品だった。IS-100は2011年のNABに参考出品したのち、2012年7月に発売される。
▲当初発売されたのがIS-100。iPadコントローラーでリアルタイムに色調整が可能。入出力はHD-SDIで各2系統、ループスルー2系統。対応フォーマットはHD。
IS-100で求められたのはマルチカメラ対応だった。テレビドラマ、映画などは、ハリウッドは複数台、それこそ5、6台のカメラが使われることがある。IS-100だけではそれに対応できない。そこでIS-100の拡張としてIS-miniが企画された。各カメラに1台、オプション的にIS-miniを加えることでIS-100が何台もあるかのように使えるものだった。
ところが、IS-miniを販売開始してみると、エンドユーザーだけでなくベンダーからの反響があった。いくつかの会社からはSDKを提供してほしいという要望もあった。そのうちのひとつが撮影現場でLUTを当ててプレビューするオンセットカラーグレーディングシステムのLiveGrade(ライブグレード)を出しているPomfort社だった。そのLiveGrade用にSDKを提供し、協業を始めた。
それをきっかけに、IS-mini単体で購入できるようにして、かつソフトウェアを用意して、撮影現場でもポスプロでも使えるようなソリューションとして提供しようという方針に切り替えたという。IS-miniをソリューションとして提供しはじめたのは、2014年4月である。
このシステムは当初のIS-100でやりたかったことはそのまま継承され、さらに安い価格でユーザーが利用できるようになった。現状、様々なカメラからの入力があり、様々なデバイスへ出力しなければならないが、入出力に関わらず同一のワークフローを組めるというのがACESのコンセプトだ。カメラに依存しないACESの色空間に変換し、そこからカラーグレーディングを行ない、かつ出力も映画用のDCI、テレビ用のREC709、パソコンモニター用のsRGB、といったファイルを用意しておけば、プロファイルをいれかえるだけで、どんな出力媒体でもそこそこ制作意図が反映したコンテンツができる。
▲カメラ(インプットでバイス)は様々、見せる環境(アウトプットデバイス)も様々という今は、色管理がますます重要になる。カメラごとのIDT(カメラプロファイル)を測定し、まずカメラ固有の画作りを廃し、標準の画作り(ACES規格)でグレーディングしていかないと効率は上がらず、クオリティも向上しない。
ISシリーズは、これまで色にこだわる映画やCMといった現場で使われてきたが、今後は放送局やビデオ系のユーザーにも使ってほしいという。これからLog撮影が増えてくると、後処理で手がかからず、しかもクオリティが高い映像が簡単にできる手段が求められてくるだろう。たとえばISシリーズのコンセプトで、マルチカメラ撮影でもっと簡単に色を合わさせられるシステムができるのであれば、使われる現場は格段に増えるのではないだろうか?
IS-miniの製品情報、LogとLUTの基礎知識が分かりやすくまとめられたページ
http://fujifilm.jp/business/broadcastcinema/solution/color_management/is-mini/promotion/
2020年上半期チャートから見るTikTok起点型ヒット~ ヒットの鍵は、参加したくなる“余地”と共感をつくる”余白”~
消費者動向やメディア動向をもとに、コンテンツの消費動向の調査や新規事業の支援などを行う、博報堂と博報堂DYメディアパートナーズの共同プロジェクト、コンテンツビジネスラボ。現在、彼らが取り組んでいるのはビルボードの総合チャートを構成する、CD売上枚数やストリーミング、Twitterなどのデータから見える、ヒット予測研究だ。第4回となる今回のコラムでは、2020年上半期チャートを通じて見ることができるヒットの傾向について解説する。
※billboard JAPANの転載記事です。
Billboard2020年上半期チャートから見えるストリーミングシーンの変化
表1は、2020年に新たにストリーミングチャートTOP100に入ったアーティストの中で、ストリーミングチャートの過去最高ランクが50位以内のアーティストの一覧である(2020/6/8までの最高チャートを記載)。この17アーティストのうち、半数以上はTikTok週間楽曲ランキングで過去に10位以内を獲得している。( TikTokにおける再生回数や影響力などを総合的に判断して生成された国内週間楽曲ランキング“TikTok HOT SONG Weekly Ranking”より) いかにストリーミングトップチャートとTikTokトップチャートが似てきているかということがわかる。
そもそも、TikTokユーザーはどんな人たち?
TikTok起点型ヒットの鍵は、参加したくなる“余地”と共感をつくる”余白”
【参加の”余地”がもたらす、他プラットフォームとの親和性】
【解釈の”余白”がもたらす、いろいろな共感】
TikTokでは、楽曲がメインコンテンツというわけではない。むしろ、ユーザー自身の生活や恋愛体験といった“コンテクスト”がメインコンテンツ。つまり、background musicではなく、context musicの方がシェアしたい、と思われやすいはずだ。(“背景”という言葉にも、”コンテクスト”という意味はあるが。) SNSを見てみても、瑛人やRin音の楽曲の歌詞に共感するという声が多い。また、コンテンツファン消費行動調査2020の「音楽に対する重視点」を見てみると、若者ほど「歌詞」や「世界観/コンセプト」に対する重視度が高いことがわかる。
6月28日に開催された、ビルボードジャパンとTikTokによる生配信ライブ【Billboard JAPAN|TikTok Special Live Streaming #MusicCrossAid】 ティックチャートの活用
では28万人以上もの人たちがTikTokでのライブストリーミングを楽しみ、盛況に終わった。今後も、TikTokにおける音楽ヒット動向には注目していきたい。
セグウェイ for JAPAN!セグウェイ最新作、フル日本仕様の電動キックスクーター「D-AIR」がMakuakeにて日本初登場
■D-AIR開発チームの想い
2001年に発表した二輪の立ち乗り電動モビリティ「セグウェイ」をはじめ、20年の間、スマートモビリティ業界のパイオニアとして培ってきた技術や安全性の知見を以て、新たなライフスタイルへのシフトを支えたいという想いから、長年日本でアフター実績のある株式会社オオトモとタッグを組み開発したJ-MAXは、昨年Makuakeでの応援購入総額7,500万を超え、1000名を超えるサポーターの方々に応援していただきました。「D-AIR」はJ-MAXを購入したお客様の声をもとに、品質はそのままにより軽量なモデルとして開発されました。
「持続可能な方法で技術革新を起こす (Think Differently and Innovate Sustainably)」というSegway-Ninebotの企業理念のもと、Segwayシリーズ第2弾となる日本の道路交通法改正案に対応したD-AIRが、スマートモビリティの更なる普及へと繋げることができ、今後未来へと続く持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。
ティックチャートの活用
【Segway-Ninebot社とは】
Segway-Ninebot社とは、2015年に米国のSegway社が、中国北京に本社を置くNinebot社と統合した、それぞれのスマートモビリティ及びロボティックス領域での世界トップの技術を駆使し、業界に更なる革新をもたらそうとするテクノロジー企業です。Segway-Ninebot社はこれまでに、PCT国際特許2件、発明特許44件、実用新案特許14件、外観特許17件、実体審査における7件の特許を含む75件の特許を出願し、発明特許3件、実用新案特許13件、外観特許17件の特許が付与されています。 また、ISO9001品質システム認証、ISO140001環境管理システム認証、CE製品認証、UN38.3航空輸送認証など、多くの国内および国際認証に合格しています。
※プロジェクトは2022年6月7日(火)14時〜7月30日(土)18時まで実施中
【本件に関するお問い合わせ】
Segway-Ninebot社
担当:Monica Gao
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