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インサイダー取引とは

インサイダー取引とは
重要事実
(b)の会社関係者等のインサイダー取引における「重要事実」とは、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす情報であり、【表2】に記載される情報は重要事実となります。
【表2】

インサイダー取引は予想以上に株式市場に横行しているという実態が判明

ある会社の株価に重要な影響を与える「重要事実」を知って、その重要事実が公表される前に株券など売買を行う行為はインサイダー取引と呼ばれて、金融商品市場の信頼を損なう不公正取引として規制され、違反した場合には罰則が設けられています。情報や背景を知り得る「中の人」が秘密の情報を元に取引を行って不正に利益を得る可能性が極めて高いインサイダー取引ですが、この件に関して実施された実態調査では、これまで一般的に予想されていたよりも多い割合でインサイダー取引がまん延している実態が判明しました。

調査を実施したのはニューヨーク大学レナード・N・スターン・スクールから2名と、カナダ・マギル大学から1名の教授からなる研究チームで、1996年から2012年の間で行われたストックオプション取引の動きを詳細に精査して取引の実態を調査。その結果、取引全体のじつに4分の1の取引は何らかの形でインサイダー取引が行われていることを明らかにしました。ストックオプション取引は、あらかじめ決められた価格で所属する会社から自社株式を購入できる権利で、従業員の業績に対するインセンティブとしての役割が与えられてモチベーションの向上を目的とするケースが多くみられるもの。

このインサイダー取引の規制については、証券取引委員会およびアメリカ司法省が最重要課題に据えているとみられ、委員会では取引データを分析してテロリストによる取引や不正な売買行為の存在を調査するPalantir Technologies社と契約を交わして取り組みを深めています。また、過去に比べてM&Aが活発に行われているという状況に対しても監視の目を張り巡らせていますが、それでも取引の実態には追いついていないというのが現状。報告書では、実際に証券取引委員会が不正なものとして訴訟を起こした取引は、調査チームの対象に含まれている1859件の取引のうち、わずか4.7%にとどまっていることが明らかにされ、規制する法律の執行が実態に対して大きく後れをとっている実態が示されています。

インサイダー取引とは

インサイダー取引-3

インサイダー取引-3

社員等を発端としてインサイダー取引が行われると、企業は該当 の社員へ懲戒処分を検討すれば済む話ではなく、企業自身も 刑事罰や課徴金の対象となり経済的な損失を被ります。 また、顧客、取引先、金融機関といった対外的な信頼を失い、 それによって顧客離れや売上の減少等、更には企業存続に関わ るリスクも存在します。

「疑われる」だけでも、調査や捜査への対応に人材や時間を費 やすため、大きなダメージを被ります。
こうしたリスクを最小化するために、企業はどのような取り組みを行うべきなのでしょうか。

小規模な企業の場合、たとえば、 経営者も含めたすべての従業員が参加する形で、情報管理に関する定期的な話し合いの場を設け、情報管理の報告やルールの見直しを行う インサイダー取引とは 方法が考えられます。定期的な話し合いによって社員が当事者意識をもちやすくなり、現場の実情に即した柔軟な対応も可能となります。

大規模な企業の場合、 コンプライアンス部門やリスク管理委員会といった組織を設立する、あるいはすでにある組織に情報管理機能をもたせる といった方法で、組織的に管理する必要性が生じます。これらの組織には各部署の責任者を参加させ、責任者を通じて各部署における情報管理を徹底させるなど、横断的な対策も求められます。

社内規定はすでにあるし、改正については法令を見れば済むのだからと放置するのではなく、 改正が行われたら規定に反映させ、その都度、管理体制の見直しを図る のが望ましいでしょう。見直されたタイミングで規定を再度周知することで、役員や社員に対する注意喚起にもつながります。

研修では、 本記事1~3章の内容を中心に社員たちが身近に捉えられる事例を交えながら、他人事ではなく自らの問題と認識できるよう工夫してプログラムを作成 しましょう。また、1回だけで終わらせるのではなく、定期的に最新の動向や事例紹介などを追加して研修を実施し意識を根付かせるように仕向けることも大切です。

また、 社外役員(社外取締役、社外監査役)についてもインサイダー取引規制に違反するリスクがあるため、こちらも対策が必要 です。平成30年(2018年)6月には証券取引等監視委員会が、上場企業の元社外取締役の男性を、取引推奨とインサイダー取引の罪で初の刑事告発を行っています。社外役員に関しては社員らとは知り得る情報が異なるため、社内向けの研修とは別に研修を受けてもらうのが望ましいでしょう。

会社経営に必要な法律 Vol.47 その行為、インサイダーの恐れアリ。

(1) インサイダー取引とは
インサイダー取引とは、「未公表の重要な事実を知って、その公表前に株券等を売買等すること」をいい、(a)会社関係者等のインサイダー取引と、(b)公開買付け者等関係者等のインサイダー取引とがあります。
(a)の会社関係者等のインサイダー取引とは、上場会社などの会社関係者が、当該会社の業務などに関する重要事実の発生後、公表前に、当該重要事実を知りながら当該会社の特定有価証券の売買等をすることを原則として禁止するものです。

会社関係者等
(a)の会社関係者等のインサイダー取引における「会社関係者等」とは、会社と一定の関係にある、【表1】に記載される人のことです。
【表1】

重要事実
(b)の会社関係者等のインサイダー取引における「重要事実」とは、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす情報であり、【表2】に記載される情報は重要事実となります。 インサイダー取引とは
【表2】

(2) インサイダー取引に対する罰則
インサイダー取引規制の違反者には、法律上、刑事罰と行政処分(課徴金)がなされます。近年、インサイダー規制を強化する観点から、違反者に対する罰則が厳格化されています。

ベンチャー企業の経営者にありがちなインサイダー取引のトラブル

問題】次の各行為は、インサイダー取引に当たるでしょうか?

インサイダー取引とは

インサイダー取引-3

インサイダー取引-3

社員等を発端としてインサイダー取引が行われると、企業は該当 の社員へ懲戒処分を検討すれば済む話ではなく、企業自身も 刑事罰や課徴金の対象となり経済的な損失を被ります。 また、顧客、取引先、金融機関といった対外的な信頼を失い、 それによって顧客離れや売上の減少等、更には企業存続に関わ るリスクも存在します。

「疑われる」だけでも、調査や捜査への対応に人材や時間を費 やすため、大きなダメージを被ります。
こうしたリスクを最小化するために、企業はどのような取り組みを行うべきなのでしょうか。

小規模な企業の場合、たとえば、 経営者も含めたすべての従業員が参加する形で、情報管理に関する定期的な話し合いの場を設け、情報管理の報告やルールの見直しを行う 方法が考えられます。定期的な話し合いによって社員が当事者意識をもちやすくなり、現場の実情に即した柔軟な対応も可能となります。

大規模な企業の場合、 コンプライアンス部門やリスク管理委員会といった組織を設立する、あるいはすでにある組織に情報管理機能をもたせる といった方法で、組織的に管理する必要性が生じます。これらの組織には各部署の責任者を参加させ、責任者を通じて各部署における情報管理を徹底させるなど、横断的な対策も求められます。

社内規定はすでにあるし、改正については法令を見れば済むのだからと放置するのではなく、 改正が行われたら規定に反映させ、その都度、管理体制の見直しを図る のが望ましいでしょう。見直されたタイミングで規定を再度周知することで、役員や社員に対する注意喚起にもつながります。

研修では、 本記事1~3章の内容を中心に社員たちが身近に捉えられる事例を交えながら、他人事ではなく自らの問題と認識できるよう工夫してプログラムを作成 しましょう。また、1回だけで終わらせるのではなく、定期的に最新の動向や事例紹介などを追加して研修を実施し意識を根付かせるように仕向けることも大切です。

また、 社外役員(社外取締役、社外監査役)についてもインサイダー取引規制に違反するリスクがあるため、こちらも対策が必要 です。平成30年(2018年)6月には証券取引等監視委員会が、上場企業の元社外取締役の男性を、取引推奨とインサイダー取引の罪で初の刑事告発を行っています。社外役員に関しては社員らとは知り得る情報が異なるため、社内向けの研修とは別に研修を受けてもらうのが望ましいでしょう。

会社経営に必要な法律 Vol.47 その行為、インサイダーの恐れアリ。

(1) インサイダー取引とは
インサイダー取引とは、「未公表の重要な事実を知って、その公表前に株券等を売買等すること」をいい、(a)会社関係者等のインサイダー取引と、(b)公開買付け者等関係者等のインサイダー取引とがあります。
(a)の会社関係者等のインサイダー取引とは、上場会社などの会社関係者が、当該会社の業務などに関する重要事実の発生後、公表前に、当該重要事実を知りながら当該会社の特定有価証券の売買等をすることを原則として禁止するものです。

会社関係者等
(a)の会社関係者等のインサイダー取引における「会社関係者等」とは、会社と一定の関係にある、【表1】に記載される人のことです。
【表1】

重要事実
(b)の会社関係者等のインサイダー取引における「重要事実」とは、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす情報であり、【表2】に記載される情報は重要事実となります。
【表2】

(2) インサイダー取引に対する罰則
インサイダー取引規制の違反者には、法律上、刑事罰と行政処分(課徴金)がなされます。近年、インサイダー規制を強化する観点から、違反者に対する罰則が厳格化されています。

ベンチャー企業の経営者にありがちなインサイダー取引のトラブル

問題】次の各行為は、インサイダー取引に当たるでしょうか?

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